LCD(液晶ディスプレイ)におけるフリッカーの原因と対策を解説
2024.03.04
LCD(液晶ディスプレイ)におけるフリッカーは、画面のちらつき現象のことです。フリッカーとは何か、その原因や対策について解説します。
目次
LCD(液晶ディスプレイ)におけるフリッカーの原因と対策を解説
近年、PCやスマートフォン、テレビなどといったLCD(液晶ディスプレイ)を使った端末が広く普及し、仕事やプライベートで使用する頻度や時間が増えています。ディスプレイを長時間使用することで、眼精疲労や頭痛など健康に悪影響を与えることは広く知られていますが、その原因のひとつとして挙げられるのがLCDにおけるフリッカー現象です。
この記事ではフリッカーとは何か、その原因と対策について解説します。
フリッカーとは、LCDで起きるちらつき現象のこと
LCDにおけるフリッカーとは、画面が一定の頻度で明るさを変えることによって生じる、視覚的なちらつき現象のことです。この現象は、ディスプレイのバックライトがオンとオフを繰り返すことにより引き起こされることが知られています。
一般的にLCDは、バックライトの点灯時間を調整することで明るさを制御する「PWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調方式)」で輝度を調整しています。画面の輝度が高い場合にはPWMは機能せず、バックライトは一定に点灯した状態のため、フリッカーを認識することはありません。
しかし、画面を暗くするために輝度を低くすると、PWMによりバックライトのオフの時間が長くなります。このように、バックライトの点灯間隔が長くなることによって、オンとオフのサイクルが人間の目に認識されると、フリッカーとして感じるようになるのです。
フリッカーは、目の疲れ、頭痛、視覚的不快感などを引き起こす可能性があり、長期間の使用による健康への影響が懸念されています。
LCDにおけるフリッカーの原因と対策
LCDの中でも、特に中・小型のディスプレイにおけるフリッカーの原因は、大きく以下のように分類することが可能です。ここでは、フリッカーが起きる原因のほか、その対策についても併せて解説します。
蛍光灯の発光周波数とLCD駆動周波数の干渉
LCDでフリッカーが起きる原因のひとつとして、蛍光灯の発光周波数とLCD駆動周波数が干渉することが挙げられます。
LCDは直流電圧駆動にすると寿命が短くなるため、交流電圧を印加することで駆動する交流電圧駆動が一般的です。そのため、64Hzや128Hzなど、基本的な駆動周波数を前提に設計されています。
一方で、生活の中で使用している蛍光灯も50Hzまたは60Hzの交流電圧駆動です。そのため、LCD駆動周波数と蛍光灯の発光周波数が近かったり同期したりすると、走査線や明暗の点滅が人間の目に見えることがあります。
こうした干渉を防ぐ対策としては、LCD単体部品を駆動する場合、駆動周波数の設定はマイコンなどで行いますが、フリッカーが顕在化しない設定にする必要があります。
また、ドライバーIC付きLCD製品の場合、2種類以上の駆動周波数が設定できるようになっているため、使用環境の違いが想定される場合は、それぞれの周波数で評価しておくことが重要です。
LCDバックライトのPWM駆動周波数とLCD駆動周波数の干渉
LCDバックライトのPWM駆動周波数とLCD駆動周波数の干渉も、フリッカーの原因のひとつです。近年は、高速で点灯するインバーター式蛍光灯やLEDランプの普及により、フリッカー現象の事例が減少しています。
しかし、LEDバックライトをPWMで駆動する場合、このPWM周波数とLCDの周波数が干渉することにより、フリッカーが見える場合があります。このような干渉を防ぐ対策としては、使用が想定される環境でしっかりと評価することが必要です。
配線インピーダンスの問題
配線インピーダンスの問題も、フリッカーが起きる原因のひとつです。特に、パッシブ型モノクロLCDにおいて、フルカスタムで開発する際にフリッカー現象が起きることがあります。
小型サイズが主流であるパッシブ型モノクロLCDの場合、ディスプレイの外形サイズに対して、画面の表示エリアを最大限に広くすると、配線スペースが減少します。それにより、LCDドライバーから表示ドットまでの配線インピーダンスが高くなると、電圧の変動によりコントラストの変化が起き、フリッカーが発生してしまうのです。
この配線インピーダンスの問題についても、想定使用環境できちんと評価を行うことが対策として必要になります。
VCOM電圧のずれ
カラーTFT LCD製品には、VCOMと呼ばれる基準電圧を調整する機能があり、このVCOM電圧のずれもフリッカーの原因となります。電圧のばらつきによって、表示がちらついたり、フリッカーに見えたりする場合があるのです。
VCOM電圧は、一部では使用する側で調整を求められる場合がありますが、LCDメーカー側での対応が一般的です。VCOM電圧のずれによるフリッカーが起きた際には、LCDメーカーへの問い合わせが対策となります。
フリッカー対策されたLCDを選ぶために必要なこと
ここまで、フリッカーが起きる原因や対策について見てきましたが、フリッカー対策されたLCDを選ぶためには、どのような点に気をつければ良いのでしょうか。
ここでは、LCD専門商社であるテスコムが、お客様にLCDを安心してご提供できるよう、フリッカー問題を発生させないポイントについて解説します。
駆動周波数と使用環境を伝える
フリッカー対策されたLCDを調達するためには、駆動周波数と使用環境を伝えていただくことが大切です。LCDの基本駆動周波数は、64Hzおよび128Hzです。
ご購入の前に、LEDバックライトを含めた駆動周波数と使用する環境をしっかりお伝えいただくことで、フリッカーが発生しにくいLCDを調達することが可能となります。
PWM周波数と干渉しない設定を確認する
調達したLCDでフリッカーを発生させないためには、PWM周波数と干渉しない設定をご確認いただくことも重要です。
LCDドライバー付きパッシブ型モノクロLCDの駆動周波数は、およそ60~128Hzのあいだで選択できます。LEDバックライトのPWM周波数と干渉しない駆動周波数を、事前に確認しておくと良いでしょう。
使用環境における温度を知らせる
使用環境における温度も、LCDでフリッカーを発生させないポイントのひとつです。LCDはその特性上、低温、高温で液晶の応答速度が変わります。そのため、使用環境の温度の範囲をお知らせいただければ、フリッカー、ちらつきの温度依存性を考慮して設計し、ご提供いたします。
フリッカー対策されたLCD選びは、知識と技術力を備えたテスコムがお手伝いします
今回は、LCDにおけるフリッカーの原因や対策について解説してきましたが、フリッカーを発生させないためには、LCDメーカー出身の技術者がそろう専門商社のテスコムにご相談ください。
専門性の高い技術担当者が、お客様の使用環境をお伺いし、フリッカー対策された最適なLCD選びをお手伝いいたします。
また、ご購入後のアフターフォローやサポートも適宜対応しますので、安心してご利用いただけます。フリッカー対策されたLCDの購入に関するご相談やお見積もりは、テスコムまでお気軽にお問い合わせください。
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